レモンエンジェルから声優桜井智へ

ファンはアイドルの結婚を祝福できるか？


すでに、音楽シーンの表舞台からは無視されてしまった、８０年代後半型アイドル。
絶滅に瀕した、８０年代後半型ファン。
その一部はプレアイドル化していたが、そのプレアイドルも、いまや下火。
（よく知らないけど、最近耳にしないから）
残った一部は声優の世界に細々と生息している。

なぜ、声優界は、このようにディープなファンのるつぼと化したのだろうか。

前にも書いたことがあるが、８０年代後半型アイドルに求められる条件とは。

１．特定の恋人はつくらない。
２．世間知らずである。
３．素直である。
４．男の言うことやること全て善意に解釈してくれる。
５．母性のやさしさにあふれている。
６．まもってあげたくなるような精神的幼さを残している。
７．処女(である可能性を残しておく）。

である。

しかし、９０年代は本当の意味で女性の時代だった。
彼女たちは強くなった。単なるオトコのお慰みでは、満足しなくなったのだ。

自己表現をし、あまつさえ、交際宣言、結婚、出産と、
本来、現在進行形アイドルにはタブーであったものが、次々と認められていく。

今や、８０年代後半型アイドルは、それが事実であるかどうかは別にして、
「巧妙に仕立てられたあやつり人形である」、そう決めつけられた。

そもそも、現実世界を見渡せば、上記７点を満たすような女性が、いったい何人いるというのか。
ファンの側も、「そんなわけないだろう」と、造られたアイドル像を見破り始めた。

そしてそれは蔑みに変わる。
自分を正直に表現しない（できない）彼女たちを、「嘘つき」または「ええかっこしい」として忌み嫌った。
アイドルの側も、アーティスティックなものを持っていなければ、生き残れなくなった。
それができなければ、プレアイドル化するか、声優に転身するしか道はない。

アイドル側だけではない。
キライなことはキライと言い、イヤな男には「イヤ」という。正直であることが正義だ。
一昔前なら「純情な青年」だったものが、「ストーカー」として気味悪がられる。
女性に嫌われることは変態のする事だ。女のコ側の評価が、男の価値を決める。

８０年代後半型ファンにとって、これは辛い。
アイドルの価値を決定付けてあげたのは、ほかならぬファンの側であったはずだ。

イベントで彼女の近くに行きたい。少しでも同じ空気が吸いたい。
彼女のサインを手渡しでもらいたい。握手をして言葉を交わしたい。
彼女をやさしく見守っているのは、ほかならぬ私なのだ。



彼らが求めている女のコ像は、現実世界では稀有な存在だ。
ましてや、実際にお目にかかることなど、皆無だろう。
そして、彼らが求めていたアイドルも、稀有なものとなった。
いや、「アイドル＝理想の女のコ」とするならば、
そういう女のコは、当時から稀有な存在であったのだが、当時は巧妙に「だまして」もらえたのだ。

現実を憂い、夢を見ることは問題ではない。
しかし、度が過ぎれば、区別がつかなくなる。

事実なんてどうでもいい。
問題は、彼女達が演じる理想の女性像が、本当の彼女だと思わせてくれることなのだ。
夢から覚める、その時期は、自分が決めたい。

アニメという仮想現実は、まさに夢を見る舞台としてはうってつけだった。

アイドルを演じ続けたい８０年代後半型アイドルと、理想のアイドルを求めていた８０年代後半型ファン。
事実両者の思惑が図らずも一致したのだ。


【補足】
但し、７について、声優界にあてはめるなら、
さすがに、「処女」と思わせるには、彼女達は往々にしてとうがたちすぎている（２０代以上が多い）し、
ファンのほうも、いい歳した女性が、「まさか処女？」とは思っていないだろう。
であるから、この場合、ファンに、そういうたぐいの「場面」を想像させない「清純さ」があれば充分だろうと思う。
つまり、本人たちの想像において、
「そういう場面では、処女っぽい反応をするのではないか」、と思わせることが肝要である。
しかし、某人気声優アイドルが、過去、アダルトビデオに出演しているという事実が発覚し、
それを本人が認めたために、命を絶ったというファン（大学生）も、実際にいるというのだから、
もしかしたら、本気で「処女」を期待しているファンもいるということか。



で、本題。

先日、衝撃セクシー写真集（と言っても、ヌードになったわけじゃなし）を発表し、
抗議が殺到した、超人気声優アイドル（と書いてあったんだよ）の桜井智が、
８年の交際期間を経て、昨年の６月に結婚、そのひと月後に出産していることがわかった。
お相手が一般人であることから、事務所は公表を控えていたらしいが、
彼女にはあまりに過激なファンが多く、「できれば隠しつづけたかった」というのが、彼女の本音のようだ。

しかし、彼女も２９。いつまでも清純路線を期待されるというのも、つらいだろうな。

（小森まなみは別。だって、本人が気に入ってるんだもん。今年でいくつになるんだ？ 声優界の由美かおるだ。）

そう考えてみれば、「舞台で、濡れ場を演じ」、「セクシー写真集発表」という、彼女の昨年からの一連の動きは、
ファンを、徐々に遠ざけ、「結婚→出産」をマイルドに受け入れさせようという、事務所側の作戦だったのかもしれない。


一児の母になった彼女を、そろそろ開放してあげたらどうだろうか。
（まあ、それは彼女のアイドル生命の終焉を意味するのだろうが・・・。）



で、冒頭の問。

「できるわけねえ」----元佐野量子ファン



（嘘です。なんか最近、いろいろ言われてますけど、どうか末永くお幸せに。）

（ああ、これも嘘だ。っていうか、どうなろうと、あんま興味ないわ）