いよいよ技能教習
平成13年7月31日

「ではまたがってください。」

いきなりコースを走るわけにはいかないので、センタースタンドを立てたまま、ＣＢ４００にまたがる。
いよいよ本題。技能講習の始まりだ。
二輪免許無しから、いきなり大型二輪を取ろうという無謀な輩には、
最初の１，２時間は４００で教習させることになっているらしい。

しかし驚いた。教官の態度にである。

めちゃめちゃやさしい。

１６年前、福山のＢ自動車学校に普通免許を取りにいったときの教官は愛想がないことこの上なかった。
ある教官はブスっとしていてアゴで道順を支持するし、
ある教官は言葉づかいが乱暴だったし、
ある教官はこっちがミスるたびに大げさにため息ついていたし、
ある教官はブレーキかけるたびに大げさに前につんのめるし、
一番強烈だったのは、教習中、鼻クソほじってシートの裏側になすりつけるのがクセだった教官である。
彼の２３号車のシートの裏は、とんでもないことになっていただろう。
はっきり言って、自動車学校の教官に、いい印象なんかもっていなかったのだ。

最近は少子化の影響で、生徒数の減少から、教習所も生き残りをかけていることは知っていた。
昔のようなしかめっ面の教官は減ったと聞いていた。
しかし、ここまで懇切丁寧なのは、ボクの想像以上だ。
あまりのギャップに、拍子抜けする。

しかし考えて見れば、僕らが普通免許の教習を受けたときのような教官であれば、
いまどきの若い子たちなら、ブチキレてしまうだろう。
血を見るかもしれない。

くわばらくわばら。

さて教習である。
走る前に、一応、ギアチェンの方法をレクチャーしてもらうのだが、
とりあえず、ＭＴＸの経験があるので、この辺はわかってるつもりだ。
ま、しかし、あんまり知ったかぶりするのもなんだから、神妙に教官の言うとおりギアを入れる。
そして一通り教わってから、おもむろにコースにでる。
まあ、初心者なので、最初は外周を周るだけだけどね。

あんまりトロトロ走るのもなんだが、かといっていきなり思い切って走るのも、
「乱暴な運転をする奴。バイクをナメてるな！」と思われるかもしれないし・・・。

そう思って、まあ、速くもなく遅くもなくという感じで２、３周グルグルと流したら、
教官はＣＢ７５０を持ってきた。

「じゃあ、こっちで行ってみましょう」

へ？！ 最初の１，２時間は４００で教習するんじゃなかったの？

「大型免許コースですよね？」

は、はあ・・・。

もうちょっと４００にも乗っていたかったような気もするが。
ま、まあいい。
とりあえず、４００の時のように無難に流す。

しかしこのトルク、すごい。
アクセル回さなくってもエンストしないで進むんじゃないかと思われるほどだ。
さすが７５０。
考えて見れば、軽自動車なんかよりも排気量はでかいんだものなあ。

う〜ん、こういうものでかっとばしたら、さぞ早いんだろう。パトカーなんか簡単に振り切るわけだ。
そういえば、極悪Ｙ氏は、福岡高速を走行中、
追尾状態に入ったパトカーを、ＭＡＸスピードで振り切って逃げたことがあったっけ。
挙句、高速を出るとき、スピード出しすぎで出口のカーブを曲がりきれず、壁に激突しながら減速したために、
高速の壁はかなりダメージを受け、しばらくそのダメージの跡が刻まれていた。
本人は大した怪我ではなかったらしいが。
さすがタフガイ極悪Ｙ氏。
給食でクラス全員が食中毒になる中、おかわりまでしたのにひとり元気だった鋼鉄の肉体。
ここまでくるともう人間ではない。


一時限目教習終了。

「ちょっとクセがついてますね。」

まあ、そうだろう。
シフトアップもシフトダウンもワンアクションでできるよう、
「かかとをステップにかけ、つま先はギアレバーの外側に出しておく」のが、
ボクのＭＴＸの時からのポジションなのだ。
これでは、足が開いてしまい、バイクの基本であるニーグリップができない。
そもそも、ＭＴＸみたいな軽量細身のバイクにニーグリップなんかしなくても走ってくれた。
だから、そのクセがついてないのだ。それはしょうがない。
ま、そのへんはおいおい覚えていこう。

「それに、まだおっかなびっくり運転しているみたいですね。もうちょっとスピードを出してみましょう。」

は？！ もっととばしていいの？

これはおどろき。
いや、だって、今日初めて大型にまたがったボクがですよ、
いきなりスピード出しちゃったりしたらまずいかなと思って、セーブしてたのに。
なんだ、早く言ってよ。もっとスピード出せたのに。

そういえば、極悪Ｙ氏は、
「速すぎるかなと思うくらいでちょうどいい。大型バイクを自由に乗りこなしているように見える」
と言っていたっけ。
あの時は、「この野郎、ボクをおとしめようとしているな」と思ったが、
どうやら彼の言うことは正しいらしい。

よっしゃ、次は飛ばしたるで！